東アジアの通貨危機 8
まず、第1に言えるのは、経常収支赤字の原因ともなっている輸出産業の構造の改善です。
ここからわかることは、各国の輸出額はこの数年大きく伸びてきましたが、それを上回る率で輸入が増えており、マレーシアを除き各国とも貿易赤字の構造は解消されていないことです。
また、マレーシアについても貿易収支は黒字であるものの、海運、保険などの貿易外収支において大幅な赤字を計上しており、経常収支の赤字の構造には変わりはないです。
このことは各国とも裾野産業(サポーティング・インダストリー)が充分育っておらず、部品を輸入し、最終組み立てだけをしていく輸出産業が依然として主流であることを示しています。
例えば、1996年のタイの輸出額第1位はコンピューター部品ですが、その全材料費に占める輸入部品の割合は70%にも及んでいるのです。
裾野産業が十分育っていない現状では、輸出増は同時に輸入増をも意味し、輸出増が経常赤字減少に貢献する割合は限られています。
従って、効果的な経常赤字の減少のためには、裾野産業の育成が重要となっています。
また、98年3月までタイはバーツ下落による競争力の強化で衣料品など労働集約的な輸出製品の増加で輸出の増加を記録していますが、周辺国との競合もあり、早晩、高付加価値な加工組立業や技術集約型製品ヘシフトせざるを得ません。
その際に、裾野産業の育成がなければ、経常収支の効果的な改善は望めないため、中長期的観点からも裾野産業の育成は重要なのです。